日本を代表する企業である京セラ。
その京セラの稲盛和夫氏の作り出したアメーバ経営。
アメーバ経営に関する本を読む機会がありましたので、紹介させていただきます。

読んだ本はこちら。
アメーバ経営 (日経ビジネス人文庫)
稲盛 和夫
日本経済新聞出版社
2010-10-02





本書は5章構成となっています。
ざっくり書くと、下記のようなテーマを扱っています。
  1. アメーバ経営誕生の経緯
  2. アメーバ経営の前提となる経営哲学
  3. アメーバ経営の組織づくり
  4. アメーバ経営の採算管理
  5. アメーバ経営の運用
私自身は会計に興味があるので、アメーバ経営の会計的な側面に焦点を当てた、第4章が特に参考になりました。


1.アメーバ経営とは?

アメーバ経営とは、社内の各組織をアメーバとし、アメーバごとに採算管理ができるようにしているシステムです。
各アメーバごとに採算情報が分かるため、自分の働きがどのように利益に貢献しているのかが見えやすく、全社員が採算を意識して働きやすくなります。

下のイメージ図は私の理解でまとめてみたものです。
アメーバ経営イメージ

この会社は、4つの部門で構成されています。
  • 製造部門A
  • 製造部門B
  • 営業部門
  • 間接部門(本社などの管理部門)
アメーバと呼ばれるのは、独立採算が可能である製造部門と営業部門です。


製造部門Aと製造部門Bは製品を作ります。
作った製品は、社内の別部門に売ることもできますし、社外の顧客に売ることもできます。

社内の別部門に売るときは、社内売として収益計上されます。
そして、社内の別部門から買うときは、社内買として費用計上されます。

社外の顧客に販売するときに、営業部門に販売を委託します。
営業部門は社外の顧客に販売すると、売上の一定率を受取口銭として収益計上できます。
対して、製造部門は営業部門へ支払った口銭を差し引いた金額が売上として収益計上されます。

間接部門は費用しか発生しませんが、各アメーバを支える組織です。
そのため、間接部門の費用は、各アメーバに配賦されます。


以上を整理すると、各アメーバの利益は下記のようになります。

<製造部門>
利益 = 売上 + 社内売 - 社内買 - 支払口銭 - 経費 - 間接部門費用

<営業部門>
利益 = 受取口銭 - 経費 - 間接部門費用


このように計算される利益を労働時間で割ると、時間当たり採算が計算されます。
アメーバ経営では、時間当たり採算を重要指標としています。


2.アメーバ経営の利点

上記のように、アメーバの利益を計算することで、次のような利点があります。
  1. 組織ごとの利益が分かる。
  2. 製造部門に市場の情報が伝わる。
  3. 間接部門の肥大化を牽制できる。
最初の利点は、組織ごとの利益が分かる点です。
何千人という会社全体での利益が分かってもピンときませんが、
百人程度の組織での利益というと現場もイメージしやすくなります。

第二の利点は、製造部門に市場の情報が伝わる点です。
通常の管理会計ですと、製造部門は原価管理が中心になります。
標準原価に対して製造コストがプラスだったかマイナスだったかというコスト面の分析が中心です。
しかし、アメーバ経営では製造部門の利益が売上に依存するため、製品がいくらで売れたのかという市場の情報を意識する仕組みになっています。
「製造部門はコストを考え、営業部門は売上を考える」という分担はせず、全社員がコストも売上も考えることになります。

第三の利点は、間接部門への牽制です。
人事労務や経理など本社機能は必須ですが、あくまで間接費なので、最小化することが望まれます。
アメーバ経営では間接部門のコストを、各アメーバに配賦し、利益に影響を与えます。
もし間接部門が肥大化すると、各アメーバが努力して効率性を高めても、配賦される間接部門の費用が大きくなるため、利益は圧迫されます。
そのため、各アメーバから間接部門のコストが適切であるかを見られることになります。


このような利点がアメーバ経営にはあります。
大きな組織になればなるほど、自分の働きの効果が分かりにくくなります。
アメーバのように小集団に分けることで、自分の働きと利益の関係が見えやすくなり、モチベーションの向上にもつながると思います。
自分の会社でも導入してみたいですね。


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