こちらの記事で稲盛和夫氏の『アメーバ経営』の本を紹介しました。
組織・会計・経営哲学が一体化した経営手法であり、とても参考になりました。

その稲盛和夫氏が創業したのが現在の京セラです。
京セラの財務データがどうなっているのか気になったので確認してみました。


1.PLデータ

まずは、PLデータです。
京セラPL

売上高・利益ともに停滞傾向です。
2018年3月決算では売上高が増加していますが、営業利益は減少しています。
決算短信のセグメント別の業績を見ると、生活・環境セグメントのソーラーエネルギー事業で501億円の引当損失を計上したことが原因のようです。
「当社は、ソーラーエネルギー事業において、ポリシリコン原材料に係る長期購入契約を締結しています。今般、同事業の収益性の低下に伴い、同原材料の正味実現可能価額が契約上の購入価格を下回ったことから、低価法により、その差額について引当損失を計上しました。」
「2018年3月期 決算短信」、3ページより引用。
京セラでは太陽光発電パネルの製造・販売をしています。
太陽光発電パネルの原材料となるのがポリシリコンです。
太陽光発電がブームになったとき、安定した原材料調達を目的に、長期購入契約を締結する企業が多くありました。
しかし、太陽光発電パネルの価格が下がってくると、収益は下がりますが、原材料費は長期購入契約のため下がりません。
そして、将来にわたって、損失が続いてしまうことになります。

京セラの引当損失は、将来発生するであろうソーラーエネルギー事業での損失を先取りしたものと言えます。
当年度限りの特殊要因とみて良いでしょう。


2.配当データ

次に、配当データです。
京セラ配当

配当金は2015年3月に減少しましたが、その後は増加しています。
2018年3月決算は120円です。
2018年7月時点での配当利回りは1.9%で、高くはありません。

配当性向は上昇傾向にありますが、2018年3月決算でも50%程度と高くない水準です。




3.BSデータ

次に、BSデータです。
京セラBS

総資産・純資産とも微増を続けています。
2015年3月決算に、総資産と純資産が大きく増加しています。




4.CFデータ

次に、CFデータです。
京セラCF

営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスという傾向です。
本業で稼いだ資金を、投資と返済に回すという資金繰りになっています。

CFの状況を見ると、安定感があります。



5.まとめ

PLもBSもCFも大きな変化はなく、安定した大企業という感じです。
もし配当利回りが3%を超えていれば、魅力的な投資先です。
しかし、配当利回りは1.9%と高くないので、大きなインカムゲインは期待できないです。




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