資産運用をするとき、成長が期待できる国と成長が期待できない国のどちらに投資するのが良いでしょうか?
当然、成長が期待できる国に投資したいです。

経済が成長すれば、その国の市場が大きくなり、その国を拠点とする企業の成長につながります。
成長が期待できる国が分かれば、どの国に投資するかを決めるときに参考になります。


そこで、マクロ経済学の経済成長理論をご紹介し、どのような国が成長するのかを考えてみます。
参考にしたのはこちらの本です。
マンキュー マクロ経済学II 応用篇(第4版)
N・グレゴリー・マンキュー
東洋経済新報社
2018-08-10


上記の画像は2018年に出版された最新の第4版ですが、私は2004年に出版された第2版を読んでいます。


1.ソロー・モデル

経済成長理論のひとつであるソロー・モデルをご紹介します。
ソロー・モデルは下記の数式で表されます。

Δk = sf(k) - (δ + n + g)k

Δk:労働者一人当たり資本ストック変化
s:貯蓄率
f(k):労働者一人当たり生産量
δ:減価償却率
n:人口増加率
g:労働増大的技術進歩率



sf(k)はその国の労働者一人当たり貯蓄額です。
貯蓄は投資に使われるので、資本蓄積にプラスとなります。

(δ + n + g)kはその国の労働者一人当たり資本の減少要因です。
労働者一人当たり資本は、減価償却で減少します。
また、労働者が増えれば、一人当たり資本は減少します。
さらに、人数は変わらなくても労働効率が上がれば、労働力当たりの資本は減少します。


この国の資本蓄積は、プラス要因(sf(k))とマイナス要因((δ + n + g)k)がバランスするところで落ち着きます。
これを定常状態と言います。

グラフで表すと、こうなります。
ソロー・モデル
二つの線が交わる点で労働者一人当たり資本量が決定されます。



2.経済成長の要因

労働者一人当たり資本量が多ければ、一人当たり生産量も多くなります。
そして、一人当たり生産量が多いということは一人当たり所得が成長するということです。
つまり、その国のマーケットが大きくなります。

では、どうなると一人当たり資本が増えるでしょうか。
ソロー・モデルからは次のような結論になります。
  • 貯蓄率(s)の上昇 → 青線が上シフト → kが増加
  • 人口成長率(n)の低下 → 赤線が下シフト → kが増加
  • 技術進歩率(g)の上昇 → 定常状態での産出量増加
一つ目の結論は、貯蓄率が高くなれば、投資に回せる資金が多くなるため、生産量が多くなるということです。
貯蓄率の高い国に投資すると、将来的に経済が発展し、資産が増えるかもしれません。

二つ目の結論は、人口成長率が低下すると、人口が減るため、一人当たりの生産量は多くなるということです。
たしかに、一人当たりの生産量や所得が高ければ国民は豊かになりますが、経済規模としては縮小することもあるので、政界経済に占める割合は変化しないかもしれません。
そのため、投資先としては単純に判断できませんね。
経済学の成長理論は、国民の豊かさを考えているので、一人当たり所得を基準に考えています。
しかし、投資先として考えた場合、マーケットの大きさが重要ですので、国全体の所得が気になります。
経済学を参考にする場合、この違いは意識する必要がありますね。


三つ目の結論は、技術進歩率が高ければ、定常状態でも一人当たり産出量が増大するというものです。
定常状態になると、k=K/LEは成長が止まります。
しかし、一人当たり生産量yは成長が止まりません。

Y = F(K, L×E)
Y / LE = f(k)
Y / L = f(k)×E

Y:生産量
K:資本
L:労働
E:労働効率

一人当たり生産量(Y / L)は、Eの成長率gのスピードで成長を続けます。

貯蓄率の変化も人口成長率の変化も、高い水準の定常状態に移行させますが、
定常状態になると一人当たりの生産量は成長しなくなります。
技術進歩率だけが定常状態においても成長を続ける要因です。

そのため、技術進歩率が高い国は持続的な成長が期待できます。
ただし、どのような国の技術進歩率が高くなるかは、ソロー・モデルでは分かりません。


この点を解決したモデルに、内生的成長モデルがありますので、別の記事でご紹介したいと思います。



3.まとめ

投資先を考えるうえで、その国の成長が期待できるかどうかは参考になります。
経済成長理論のソロー・モデルからは下記の点が分かりました。
  • 貯蓄率が高い国は成長が期待できる。
  • 人口成長率が低い国は国民は豊かになるが、マーケットが縮小するかもしれない。
  • 技術進歩率が高い国は持続的な成長が期待できる。
別の記事で各国のデータを比較してみようと思います。




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