武田薬品工業の財務データをご紹介します。


1.PLデータ
まずは、PLデータです。
武田薬品PL

売上高は停滞傾向または微増です。
営業利益・経常利益・純利益は、2015年3月決算でマイナスとなりましたが、
その後はプラスになり、増加を続けています。

平成27年度3月決算の決算短信を見ると、2014年3月決算では△45,038百万円であった「その他営業費用」が2015年3月決算では△322,158百万円と急増しています。
「その他営業費用」が急増した原因は、訴訟関連に伴う費用のようです。
「米国における2型糖尿病治療剤「ビオグリタゾン(米億製品名:「アクトス」)を含有する製剤」に起因する膀胱がんを主張する製造物責任訴訟に関して、その大多数を解決する和解に向けた合意に至ったことに伴い、今回の和解に要する費用、本和解に参加しない原告による訴訟への対応費用およびその他のアクトス関連訴訟にかかる損失等につき27.0億ドル(3,241億円)を引当計上するとともに、製造物責任保険による支払いが概ね見込まれる保険金額(500億円)を金融資産として計上し、これらの純額をその他の営業費用として計上しました。」
「平成27年3月期 決算短信」、3ページより引用。

2018年3月決算では、各利益が大きく増加しています。
決算短信を見ると、売上収益は増加していますが、売上原価は減少しています。
つまり、利益率が向上しているようです。
「製品構成の改善により、事業等の売却影響と為替影響を除いた実質的な売上総利益は対前期+9.7%となり、実質ベースの売上総利益率は69.1%から71.8%に向上しました。」
「2018年3月期 決算短信」、4ページより引用。


2.配当データ
次に、配当データです。
武田薬品配当

配当金は変わらず、180円です。
配当性向は2017年3月決算までは100%を超えていました。
(※2015年3月決算は純利益がマイナスのため、表示していません)
しかし、2018年3月決算では純利益が増加したため、75%に低下しました。
配当の継続性から考えると、配当性向が100%未満に低下したのは一安心できます。


3.BSデータ
次に、BSデータです。
武田薬品BS

総資産・純資産ともにやや低下傾向です。
純資産の減少は、配当性向が100%を超えていたことが原因です。
会社の資本を削って、配当を継続していた結果です。
しかし、2018年3月決算では配当性向が100%未満になったため、純資産も増加し、株主資本比率も上昇しています。


4.CFデータ
次に、CFデータです。
武田薬品CF

営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはプラスやマイナスとなっています。
2018年3月決算では営業CFが大きくプラスになっていますが、今後も継続できるかに注目です。


5.まとめ
2016年3月決算以降、利益が増加を続けています。
2018年3月決算では配当性向が100%未満になりましたが、まだ高水準なので、注意は必要です。
ただし、2018年3月決算では売上利益率が向上していますので、製品構成の改善効果が継続するのであれば、今後も利益増加を期待できます。


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