企業の探し方

給与以外の所得を増やし、セミリタイアも可能な自由を手に入れるには、資産運用が必要です。

株で運用することで、高い利回りを期待できますが、値下がりのリスクはつきものです。
そのため、業績が安定した企業を探し、できるだけリスクを小さくする対策が必要です。

では、業績が安定した企業を探すには、どうしたらよいでしょうか?
この記事では、企業の財務諸表を使って、業績の安定性が高い企業を探す方法をご紹介します。


この記事のポイント
  1. 業績が順調であるかを、売上高と利益で確認する。
  2. 配当金の継続性を、配当性向で確認する。
  3. 財務基盤の安定性を、総資産と純資産で確認する。
  4. お金を稼げているかを営業CFで確認する。
  5. 将来に向けた投資ができているかを投資CFで確認する。


1.業績が順調に伸びているか?

業績が伸びている企業の株価は上昇しやすく、下落しにくいです。
企業の業績は、財務諸表の損益計算書(PL)を見るとわかります。

ポイントは、次の2点です。
  1. 売上が伸びているか?
  2. すべての利益が伸びているか?

下のグラフは、バンダイナムコホールディングスのPL情報です。
バンダイナムコPL

まずは売上高が伸びているかを確認します。
売上高が伸びているということは、その企業の本業が順調に伸びていることになります。

次に、利益が伸びているかを確認します。
利益には3種類あります。
  1. 営業利益(本業での利益)
  2. 経常利益(本業+投資活動での利益)
  3. 純利益(特殊事項を含めた最終利益)
1の営業利益は、本業での利益です。
当然伸びていることが好ましいです。
もし売上高が伸びているのに、営業利益が伸びていないのであれば、事業拡大にコストがかかりすぎている可能性があります。
つまり、本業の利益率が低くなっているので注意が必要です。
バンダイナムコは、売上高も営業利益も伸びているので、この点をクリアしています。

2の経常利益は、本業での利益に加えて、投資活動での利益を加えたものです。
関連会社からの配当などがある場合は、プラスになります。
支払利息などがある場合は、マイナスになります。
バンダイナムコは営業利益と経常利益がほとんど同じですが、営業利益と経常利益が異なる動きをしている場合は、経常利益の内訳を確認する必要があります。

3の純利益は、その年の特殊事項なども含めた最終的な利益です。
訴訟費用があればマイナスになります。
資産を売却したらプラスになります。
特殊事項がなければ、営業利益や経常利益と同じような動きになります。
もし営業利益や経常利益と動きが異なっている場合は、その原因を調べる必要があります。


3種類の利益をご紹介しましたが、すべての利益が伸びていることが理想です。
営業が順調であれば、営業利益が伸びます。
営業も投資も順調であれば、経常利益が伸びます。
純利益は特殊事項によって、増減はするかもしれません。
しかし、営業利益や経常利益が伸びていれば、純利益も伸びていきます。



2.配当金を継続できそうか?

配当利回りの高い株を購入しても、配当金が減少してしまうと利回りは悪化します。
そのため、配当金が継続できそうかを確認する必要があります。

ポイントは、次の2点です。
  1. 配当金が減少していないか?
  2. 配当性向が高すぎないか?

下のグラフは、バンダイナムコホールディングスの配当情報です。
バンダイ配当
配当金が減少しているときもありますが、増加傾向です。

配当性向は、利益の何%を配当に回しているかを示す指標です。

配当性向 = 配当金 ÷ 1株当たり純利益 × 100

配当性向が高すぎると、企業が稼いだ利益のほとんどを配当に回していることになります。
配当が多いとうれしいですが、利益の大部分を配当に回しすぎると、将来の企業活動に向けた投資ができなくなります。

また、企業によっては、配当性向が100%を超えている場合もあります。
その場合、利益以上に配当を出しているので、企業の資産を取り崩していることになります。
配当性向が100%を超えていると、配当金が継続できなくなりますので、注意が必要です。


3.財務基盤は安定しているか?

景気動向によって、一時的に売上高や利益が減少することもありえます。
財務基盤が安定していれば、一時的な利益減少にも耐えることができます。
その結果、株価の下落や、配当金の減少を回避しやすくなります。

ポイントは次の3点です。
  1. 総資産は伸びているか?
  2. 純資産は伸びているか?
  3. 株主資本比率は低下していないか?

下のグラフは、バンダイナムコのBS情報です。
バンダイナムコBS
企業が成長すると、資産規模は大きくなっていきます。
そのため、資産額は増加していきます。
また、資産額が伸びると同時に、純資産も伸びていきます。

ただし、借金するだけでも資産額は増加します。
そのため、株主資本比率にも注目する必要があります。

株主資本比率は、企業の資産の何%が株主のものかを示す指標です。

株主資本比率 = 株主資本 ÷ 総資産額

資産額が増加しているのに、株主資本比率が低下している場合、借入金などの負債が増えていることを意味します。
もし株主資本比率が低下しているのであれば、注意が必要です。



4.現金の流れは良いか?

本業でお金を稼ぎ、将来に投資して、事業を拡大していく。
そして、本業での稼ぎを大きくしていく。
このような好循環ができていれば、安定した配当も期待できます。

企業の資金の流れは、キャッシュフロー計算書を見るとわかります。

ポイントは、次の3点です。
  1. 営業CFはプラスか?
  2. 投資CFはマイナスか?
  3. 財務CFが継続的にプラスになっていないか?
下のグラフは、バンダイナムコのCF情報です。
バンダイナムコCF
営業CFは本業での稼ぎです。
プラスになっていることが基本です。
もしマイナスならば、本業で稼げていないことになります。

投資CFは将来への投資で使っているお金です。
企業は将来に向けて投資をするので、投資CFは通常マイナスです。

財務CFは借入金をすると現金が増えるのでプラスになります。
そして、返済をするとマイナスになります。
もし財務CFが継続的にプラスである場合、返済額よりも借入額のほうが多くなっている可能性があります。


5.まとめ

以上のように、BS、PL、CF、配当の情報を見ることで、企業の業績を知ることができます。
これをすればリスクがゼロになるということはありませんが、リスクを下げることはできます。
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